戸建て住宅を建てる上で太陽光発電をつけるかつけないか、迷う方も多いのではないでしょうか。私もその一人でした。
太陽光発電って住宅会社によっては、「普通は載せます」というスタンスのところもありますよね。とはいっても冷静に考えると高い買い物ですし、それなりに納得できる根拠が欲しいです。
この記事では、最終的には太陽光発電を導入した私が、事前に計算した費用対効果と、今もまだある懸念点、なぜ太陽光発電を導入したのかをお伝えしていきたいと思います。
太陽光発電のメリットとデメリット
まずは太陽光発電について、メリットとデメリットはこんな感じです。
メリット
- 環境にやさしい: 発電時に二酸化炭素を排出せず、地球温暖化対策になる
- 電気代の節約: 発電した電力を自家消費することで電気代を削減できる
- 売電収入: 余った電力を電力会社に売ることで収入を得ることができる
- 停電時の電源確保: 災害時や停電時にも電力を利用できる
デメリット
- 初期費用が高い: 設置コストが高く、一般的数十万円から100万円以上かかる
- メンテナンスが必要: 定期的な点検や部品交換が必要
- 天候や季節に左右される: 曇りや雨の日、冬季などは発電量が低下する
- 設置場所の制約: 設置する地域、住宅の構造や屋根の向きによっては設置が難しいことがある
太陽光発電って元取れるの?
初期費用
実際に私が太陽光発電を導入するのにかかった費用は総額280万円くらいでした。私の家の場合は8kWの太陽光パネルを載せて、マキシオンという海外メーカーのパネルなので相場よりは少し高いと思います。
発電シミュレーション
続いてどのくらいお得になるのかについて、太陽光発電の節電+売電の金額はこちらのサイトで簡単にシミュレーションできます。厳密にはパネルメーカーごとに発電効率や耐久年数が異なりますが、大枠のお得感を知るには便利なシミュレーターです。
京セラ 住宅用太陽光発電シミュレーション<簡易版> (https://www.kyocera.co.jp/solar/personal/simulation)
指示に従って、設置する地域、パネルの容量、直近の電気料金などを入力していくと結果が出ます。
太陽光パネルを設置した場合の収益は、「節電効果」と「売電収入」の2つを足し合わせて考えます。本来電力会社から買うはずだった電気を太陽光でただで作ったので、家計にとっては費用のマイナス、つまり収益になりますね。
私の場合の年間収益は、節電効果の73,893円と売電収入の139,719円を合わせて年間213,612円です。
元が取れる。。?
太陽光の売電単価が固定単価なのは初めの10年間ですので、その期間に得られる収益を計算すると、2,136,120円でまだ初期コストの280万円には70万円ほど届きません。
多くのパネルメーカーがパネルの保証期間を20年としていますので、保証期間まで10年間使えたとすれば、仮に売電単価が減って、経年劣化で発電効率が落ちたとしても残りの70万円を回収することが出来そうです。
将来の売電単価がいくらになるかはわからないのでこれはリスクとして受け入れる必要がありますが、よく営業の方が謳い文句にされる「十〇年で元が取れて、それ以降は得でしかないです!」という話の根拠はこのあたりから来ていそうですね。
ただ、これだけの計算だとだいぶ怪しいので、次はもう少し踏み込んでみて、投資として太陽光発電はどうなのか?という観点で考えてみたいと思います。
投資としての太陽光発電
太陽光発電のトータルコスト
まず、初期コストの280万円だけでなく、それに運用コストも足して、トータルコストを見積もってみます。
太陽光発電には太陽光パネルだけでなく、パワコンという発電した電力を家庭で使えるように変換する機械が必要なのですが、これがだいたい15年くらいで壊れると言われていて、壊れたら大体20-30万円くらいで交換が必要です。
また、太陽光パネルが使えなくなったとき、撤去するにも費用が掛かります。現状、太陽光パネルの撤去が必要になるまで時間が経っている家庭が少なく、撤去費用のサンプルは少ないのですが、家庭用の太陽光パネルだと300,000円くらい見積もっておけばよさそうです。
さらに新築住宅に太陽光発電をつけるには、多くの方が住宅ローンを組むでしょうから、住宅ローン返済の金利負担も加えます。
パワコン修繕費:300,000円/15年
撤去費用:300,000円
ローン返済(太陽光発電分のみ):89,000円/年 (金利0.6% 35年ローンで金利負担分は約30万円)
住宅ローン返済に合わせて35年間のトータルコストを計算すると、約400万円になります。
(パワコン修繕費:300,000円×2回)+(撤去費用:300,000円)+(ローン返済:89,000円×35年)=4,015,000円
年間利回り
上記で算出したトータルコストに対して年間の利回りを考えてみると、5.3%になります。
(年間収益:213,612円)÷(トータルコスト:4,015,000円)=5.3%
年間利回り5.3%って、株式投資の世界からすると悪くない数字なんです。大体東証プライムの配当利回りは2.5%くらいと言われているので、その倍以上の利回りです。
この利回りなら、19年でコストは回収できる計算になりますので、利回りも悪くなくて、地球にやさしくて、停電対策にもなるなら太陽光発電導入もありかなと思いますよね。
ただ、太陽光発電導入を決めたものの、懸念点もいくつか残っています。
懸念点
- 利回りは将来ほぼ確実に下がる
11年目以降の売電単価の固定解除とパネルの経年劣化による発電効率の低下が起きるため、5%以上の利回りを維持することはできないと考えています。 - 技術革新により、もっとお得な選択肢が出てくる可能性がある
ペロブスカイト太陽電池という次世代の製品が開発されています。まだ家庭向けには販売されていないですが、発電効率・価格ともに現在主流のシリコン系太陽電池よりも優れているので、新築時にシリコン系太陽電池を導入するよりも、数年待ってペロブスカイト太陽電池を導入した方が費用対効果が高い可能性があります。 - 予想外の費用が掛かるリスクもある
例えば雹が降って太陽光パネルが破損した場合などは火災保険で直せるケースもありますが、あくまで太陽光発電システムは機械なので、故障のリスクとは切り離せないし、それが保険もメーカー保証も効かない可能性があります。
まとめ
ここまで読んでいただいた方、太陽光発電はちょっとやめておこうかな。。。という方も多いのではないでしょうか。
まさにそれが今回記載したかったことで、太陽光発電を導入するときに、得になるなら付けておこうかなという考えは危険だということです。それならよっぽど毎年89,000円をオルカンなどの分散型のインデックス投資信託で積み立てるほうがおすすめです。年利5%で運用できたとして、35年後には841万円になる計算です。
金融庁 つみたてシミュレーター(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/)
ではなぜ私が太陽光発電を導入したのかというと、電力の自給自足のためです。
最近は円安や社会情勢の変化などでエネルギー価格が高騰していますよね。今後はAIの発達でさらに大量の電力が必要になるとも言われています。電力の先行きが不透明な中、自分たちで使う電気は自分たちで作れたら安心です。
それなので、安心のためには多少のコストを支払うことはしょうがないという心持ちで、先ほど挙げた3つの懸念点も受け入れた上で太陽光発電を導入しました。
引き続きこのブログでは、実際のところ計画通りにいくのか、そううまくはいかないのかお伝えしていきたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。少しでもみなさまの参考になれば幸いです。
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