今回の投稿は自分で登記シリーズの3回目です。
全体の流れから知りたい方は、過去の投稿にも目を通していただければと思います。
今回は建物図面・各階平面図についての話です。全体の流れの中の以下の赤枠部分の「図面」についての話です。
新築戸建て住宅を建てる際の登記で最も難易度が高いのはこの図面作成だと思います。
以前の投稿でも、法務局ごとに登記手続きの取り扱いが異なっている点には触れてきましたが、この図面に関する部分が最も取り扱いに差があるのではないかと推測しています。
というのも、私が下調べした時点でもブロガーの方の記載内容が互いに違っていて、どっちだ?となることもありましたし、私が法務局に相談したときも下調べとは異なるルールがあったり、逆に思っていたより細かく指摘されない部分があったりました。
- 線は0.2mm以下で記載しなければならない→そこまで細かく見られず、Googleスプレッドシートで作成した図の線はそれより太かったが指摘されなかった
- コンビニでプリントアウトしたものはダメ→OKだった
- 建物図面の隣地からの距離は2か所記載する→3か所必要だった
- 各階平面図は全ての辺の長さの記載が必要だった
それなのでこの投稿では、初回の法務局相談員の方のチェックの前に、自分の手で第一版を作り上げられる情報を記載することを目的とします。それ以降は法務局の方の指摘に従って修正するという二段構えで進めていただければと思います。
準備するもの
まず図面作成のために準備するものはこちらです。今回は手書き前提で準備するものを挙げました。
- 三角スケール
- 1/250と1/500の図面を書きます。私は始め、いちいち1/100単位に計算して普通の定規で書いていましたが、初回のチェックで長さが合っていないことを指摘され、三角スケールを薦められて購入しました。
- 製図ペン
- 0.2mm以下の太さのペンで図面を書くルールになっているので、通常のボールペンでなく製図専用のペンを買いましょう。
- 三角定規
- 並行と直角を作図するのに使います。
- 公図や地積測量図
- 建物図面の作成に使います。公図には、きちんと測量された正確なものと昔作成された正確でないものがあるので、縮尺が1/500で、きちんと測量されたものであれば、建物図面の作成がぐっと楽になります。
- 土地を購入した際に権利書などと一緒に公図も受け取っているケースもあると思いますが、手元になければ法務局で申請すれば、450円で発行してもらえます。
- 住宅会社からもらった建築図面
- 建物図面と各階平面図の両方で使います。
サンプルのダウンロード
建物図面と各階平面図はExcelなどのスプレッドシートで作成することもできますし、手書きでも構いません。それぞれのフォーマットを用意してくれているサイトをご紹介します。
ちなみに、私は各階平面図はGoogleスプレッドシートで作成し、建物図面は手書きで作成しました。土地が複雑な形状だったため、建物図面は公図からトレースした方が早かったためです。1枚の紙に各階平面図と建物図面を作成しますが、片方がPCで片方が手書きであっても問題ないとのことでした。
建物図面・各階平面図はB4サイズでの提出になりますので間違えないようにしましょう。
手書きフォーマットはこちら。
Excelフォーマットはこちら。
図面以外の部分の埋め方
まずは図面以外の部分を埋めていきます。記載する場所は以下の赤字の3か所です。
家屋番号
空白でよいです。
建物の所在
建物の住所です。建物表題登記申請書に記載した所在と完全に同じ記載とする必要があります。
作成者
現住所+記名+押印+作成日の記載が必要です。特に提出する前に押印するのを忘れないようにしましょう。
申請人
申請者の名前を記載します。自分で登記する場合は作成者と申請人はどちらも自分の名前を書いておくことになります。
建物図面・各階平面図共通の注意点
紙の質は事前に電話で確認しておく
図面作成はかなり骨の折れる作業です。
普通のコピー用紙を使う場合は、それで受け取ってもらえるか事前に法務局に確認しておきましょう。私が下調べした範疇では、最近のコピー用紙は質が良くなってきているから全然問題ないというケースが多かったように思いますし、私自身もコンビニでプリントアウトして申請して問題ないと言われました。
基本ルール
図面を作成していくにあたっての基本ルールをお伝えします。
- B4用紙で作成する
- サイズを間違えると受け取ってもらえないことがあるようです。
- 0.2mm以下の太さのペンで書く
- 私の場合はGoogleスプレッドシートで印刷した線が0.2mmより太くても特に指摘されなかったですが、ルール上はこうなっています。気になる方は担当の法務局に確認してみてください。
ちなみにこちらが実際にGoogleスプレッドシートで作成した各階平面図です。一番細い線を使ったのですが、0.2mm以下にはなりませんでした。
図面の書き方
次に、基本的な図面の書き方をお伝えします。各階平面図でも建物図面でも通じる考え方です。例として各階平面図の写真を交えながらお伝えします。
今回の例は、総二階の各階平面図です。これが出来上がっていくイメージをしながら読み進めていってみてください。
基準線を引く
鉛筆やシャーペンなど消せるもので下書きの基準線を引きます。この時点では長さを気にせずに引いてOKです。
直角を取る
直角は三角定規を2つ使って書きましょう。以下の写真のように、三角定規を合わせて、直角の線を引きましょう。
各階平面図の場合、2階の分も上下にスライドして線を引きます。
三角スケールで交点になる部分に印をつける
三角スケールを使って、書きたい図形の交点(辺と辺が交わる位置)に印をつけていきます。
交点の印をつなげる
交点の印同士をつなげて線を引きます。
計測する
思った通りの長さになっているか、三角スケールを使って改めて測ります。
本番
下書きとずれないように製図ペンでなぞってください。
ちょっと今回は辺と辺の交わる部分がはみ出てしまいました。。。実際にみなさまがトライするときにはピタッとはみ出ないように注意してください。
下書きを消す
ペンのインクが乾いたことを確認して、消しゴムで下書きを消したら完成です!
建物図面の書き方
基本的な作図の方法がわかったところで、具体的な建物図面の書き方をお伝えしていきます。
1/500の縮尺で土地・建物を正確な形、大きさ、位置で記載する
まずは公図や地積測量図などを参考に正確な土地の形を記載します。分譲地などの比較的整備された区画であれば簡単ですが、複雑な形の土地ですと、三角定規だけでは作図が難しいかもしれません。
縮尺が1/500のきちんと測量された公図や地積測量図がある場合、それをトレースするだけで土地・隣接地部分を作成できますので建物図面の作成がかなり楽になります。難しい場合はそれらが入手できないか不動産業者に相談してみましょう。
土地の次は建物を配置します。住宅会社の図面に隣接地までの距離が記載されているはずなので、それを参考に正しい位置で建物を記載します。
前述の基本的な図面の書き方に倣って、直角を取りながら、三角スケールを使って正確な長さで記載するようにしてください。
敷地および隣接地の地番を記載する
公図には隣接地の地番が載っていますので、それを確認しながら間違えないように記載してください。
東西南北がわかるように記載する
これも公図に方位を示されているはずですので、同じように記載してください。
建物の位置と隣地までの距離を3か所以上記載する
サンプルだと付属する建物があってややわかりづらいですが、北・西・南の3か所に隣接地までの距離が記載されています。
方角は問われなかったですが、建物の位置が確定するように、3か所の隣接地までの距離を記載してください。住宅会社の図面に、隣接地との距離が書かれているはずですので、それを参考にして記載できます。
私の場合、この隣接地までの距離は実地調査でのチェックされました。2名の担当者の方がメジャーで図面と実測が合っているかを確認されていました。
各階平面図の書き方
1/250の縮尺で正確な形、長さで記載する
建物はほとんどの場合に四角をベースに設計されていると思いますので、前述の基本的な図面の書き方に倣って作図ができるかと思います。
ただし、2階建て以上の建物で、各階の形状が違う場合は注意が必要です。
以下の例で説明します。
- 上階の床面積に含まれないが、1階の床面積に含まれる部分を点線で記載する。1階と2階の形状が違っていたり、吹き抜けがこれに該当します。(下図赤枠部分)
- 1階の床面積に含まれないが、上階の床面積に含まれる部分も点線で記載する。玄関やテラス部分をへこませて、雨に当たらない部分を増やしている場合などがこれに該当します。(下図青枠部分)
すべての辺の長さがを記載する
住宅会社の図面を見ながら、各辺の長さを記載します。このサンプルでは少数第二位までですが、私の場合は小数第三位までの長さがあったので、小数第三位までで統一しました。
床面積と、その計算過程を階ごとに記載する
図面の右側に求積表と記載し、各階ごとの床面積を求める計算式を記載します。床面積は小数第二位まで記載し、小数第三位は切り捨てます。四捨五入ではないので注意してください。
ここで算出した床面積を建物表題登記申請書の床面積にも転記します。
また、不動産登記における床面積と、住宅会社の図面に書かれている床面積とは異なる場合があるので注意してください。私の場合もこの2つの床面積は違っていて、その差はリビング階段の分でした。
こちらのサイトで階段のタイプごとに床面積に含めるか否か詳しく解説されていましたので、私はこれを参考にしました。
他にも天井高1400mm以下の部屋は床面積に含めないというルールもありますが、これは住宅会社の図面でも同じ扱いだと思います。
床面積に含めるかどうか怪しい箇所というのは、実地調査の日に確認されて写真を撮られます。不安な場合は法務局の方に事前に相談して教えてもらいましょう。その際に写真を撮っておくとスムーズに判断してもらえると思います。
まとめ
建物表題登記の最難関の建物図面と各階平面図の作成はいかがでしたでしょうか?
当初、私が下調べをしていて初めて建物図面と各階平面図の書き方を見たときの感想は「これならいけそう」でした。でも実際にやってみると、法務局の方のチェックの修正含め、意外と時間がかかったりしたので、時間には余裕を持って対応する良いと思います。
私が自分で登記を成功できたのは、法務局の方とのやり取りを綿密に行ったのが大きいと思います。やはりネットで調べるよりも本家に確認するのが早いし正確です。
また、自分で登記をしていると、住宅会社や金融機関も建物図面と各階平面図が難関ということは把握しており、進捗状況を確認されることもありました。その時に法務局と綿密にやり取りしているアピールができると、要らぬ不信感を与えることもなくなります。
ただし、法務局の相談員の方もなかなかスケジュールに空きがないので、まずは早めに第一版を作って、そこからブラッシュアップしていく流れを取るのが良くて、できれば初回相談のタイミングでもう2回くらい、担当の相談員の方の予定を抑えてしまうのが良いと思います。不要になったらキャンセルすればOKですので。
建物表題登記が終われば、所有権保存登記は比較的楽だと思いますので、ここが一番の気合の入れどころです!
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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